味噌 - Miso -

”あひるのこ”では初の試み、「味噌作り」をやります。
味噌を作ってみたい、というママの声を受けて、
”野菜塾”の桜井さんに教えてもらうことになりました。
希望者が多かったため、2回に分けました。
2回目は大雪の影響で延期となり、3月7日(金)に行われます。

味噌・味醤(みそ)
わたし達、日本人にとって欠かすことができない調味料ですね。
大豆発酵食品としてながく日本人の健康を支えてきました。
「蒸した大豆に、米、麦、大豆などの麹を塩を混合して
 熟成させた食品。」
 国語辞典より
『みそ品質表示基準』農林水産省告示=JAS規格
「大豆若しくは大豆及び米、麦等の穀類を煮蒸ししたものに、
 米、麦等の穀類を煮蒸ししてこうじ菌を培養したものを加えたもの
 又は大豆を煮蒸ししてこうじ菌を培養したもの若しくはこれに米、
 麦等の穀物を煮蒸ししたものを加えたものに食塩を混合し、
 これを発酵させ、及び熟成させた半固形状のものをいう」

なんだかとってもわかりづらい…

要するに、みそとは、
「大豆、米、麦、雑穀などの穀類と塩を原料
(ただし、大豆は必須原料)として麹菌の酵素で発酵、熟成させた
 半固形状の食品で、味噌汁や料理の調味に使われるもの」

というものです。

≪伝来≫
ルーツは古代中国の周王朝から伝わった”醤(ひしお)”であると
いわれています。 ”醤”とは獣や魚の肉をつぶして塩と酒に漬け込み、
100日以上熟成させたものです。
中国では現在でも調味料として、豆板醤(トウバンジャン)・
甜麺醤(テンメンジャン)・豆鼓(トウチ)などがあります。
さらにドレッシングのことは沙ら醤油(サラジャン)、
スパゲッティソースのことは伊太利麺醤(イタリメンジャン)と呼ぶそうです。

中国の醤に関する記録は古くは、孔子の言行を弟子達が記録した『論語』にまで
さかのぼり、その中には「其の醤を得ざれば食はず」と書いてあります。
つまり、 「先生は食べ物にふさわしい醤がなければ食べなかった」ということです。
孔子がが亡くなったのは紀元前479年で、そのころの日本は縄文時代の終わり
くらいとなります。

≪歴史≫
平安時代
お味噌は贅沢品
高級官僚の月給として支給されていて庶民の口には
なかなか入ることはありませんでした。

鎌倉時代
味噌汁の登場!
粒味噌をすりつぶした"すり味噌”が作られ、お湯に溶けやすいので
味噌汁として食されるようになりました。

室町時代
味噌料理、発展!
大豆、稗(ヒエ)、粟(アワ)栽培の奨励策に伴い、大豆の生産が増え、
味噌の自家醸造が始まりました。
今に伝わる味噌料理のほとんどがこの時代に作られ始めたといわれています。

〜戦国時代〜
味噌は戦陣食!
戦国武将達の兵糧として米と味噌は欠かせないものでした。
武田信玄ー信州遠征に備え、農民に大豆の生産を促し、
      みそ作りを奨励した⇒「信州みそ」
伊達政宗ーみそ作りを奨励⇒「仙台みそ」として発展
上杉謙信ー「越後みそ」
徳川家康ー軍用みそを他に頼らず自給しようと考え、
      城下に日本初のみそ工場を確立しました。
      平均寿命が37、8歳の時代に75歳の
      天寿をまっとうしたのは”五菜三根”の
      味噌汁を飲んでいたから、、、とも
      言われています。
     ◇五菜:大根葉、春菊、せり、ねぎ、菜の花、三つ葉など
     ◇三根:大根、里芋、ごぼう
    ⇒具だくさんで食物繊維、栄養たっぷりで低カロリー
     「権現様(家康)の家訓」 
     麦飯と五菜三根の味噌汁で健康を心がけ、2代目以降の将軍たちも
     食膳には味噌汁を欠かさなかったそうです。

  
〜江戸時代〜
味噌文化が花開く!
江戸の人口は50万人を越え、お味噌の需要に対する生産量が
まかないきれないほどに。
三河や仙台からもどんどん江戸に送られ、味噌屋さんは大繁盛
しました。 江戸の人口は女性よりも男性が多かったことで、
外食文化が発展し、お味噌を使った料理もどんどん出てきました。
味噌汁が庶民の味となって飲まれ始め、お味噌が家庭のものとして
なじんでいきました。

≪味噌は万能薬≫
『本朝食鑑(ホンチョウショッカン)』1695年 代表的な食の解説書
 「腹中(フクチュウ)をくつろげ、血を活かし、百薬の毒を排出する。
胃に入って、消化をたすけ、元気を運び、血のめぐりを
良くする。痛みを鎮めてよく食欲をひきだしてくれる。
嘔吐をおさえ、腹下しを止める。
また髪を黒くし、皮膚を潤す。」

ことわざ
 「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」
⇒味噌は医者いらず
 「味噌の三礎 ミソのミソ」   
   味の素・命の素・美の素 
※味噌汁一杯 三里の力
※味噌汁は朝の毒消し
※味噌汁は医者殺し
※味噌汁は不良長寿の薬
※味噌汁はたばこのず(毒・害)をおろす
※味噌で飲む一杯、酒に毒はなし


≪効用≫
大豆そのものを食べるよりも、発酵熟成によってさらに
いろいろな効用成分が作られます。

イソフラボン :肩こり解消、乳がん予防
         女性ホルモンと似た作用をもつ
         カルシウムの流出を防ぐので骨粗しょう症になりにくい
レシチン   :ぼけ防止、コレステロールの低下、動脈硬化の予防
サポニン   動脈硬化、肝障害、過酸化脂質の生成防止
△褐色色素   :老化防止、過酸化脂質の生成防止
アミノ酸   :消化促進(朝の味噌汁は消化を助け、栄養の吸収を良くする)
△遊離リノール酸:高血圧防止、美肌効果、肌のしみ、そばかすを防ぐ
△食物繊維   :大腸がんの予防、コレステロール低下
△ビタミン類  :疲労回復、脳の新陳代謝の促進



≪種類≫

1. 麹の原料  
☆米味噌
 米麹を使う
☆麦味噌
 大麦、裸麦の麹を使うー麦特有の香りとうま味
☆豆味噌
 米、麦を使わず、大豆と塩で作るー濃厚な風味と香り、わずかな苦味と渋み
 ex)八丁味噌
☆あわせ味噌

2. 味ー麹と塩の分量バランス、醸造期間など製法の違い
    
☆辛口:塩分量12%前後
       麹歩合6前後  一般に熟成期間が長く、うま味が濃厚で芳香も高いのが特徴
       ex)仙台味噌、信州味噌
☆甘口:塩分量5%前後
       麹歩合20前後(大豆の倍量ほど使用)
       短期間で醸造し、豊かな甘みと麹自体の高い香りが特徴
       ex)関西白味噌

3. 色ー発酵の過程で大豆などのアミノ酸と糖が反応する”メイラード反応”
     によるもの
赤味噌:大豆を長時間水に漬けてその後、高温で長時間煮蒸す
          メイラード反応が促進される
白味噌:大豆の浸透時間を短くして煮たり、熟成期間を短くして
          メイラード反応を抑える
☆淡色(タンショク)味噌 :赤と白の間


≪味噌とのつきあい方≫
1.開封後、ビニール袋などはきっちりと空気を抜いて口を閉める。
  または消毒した清潔な容器に移し、ラップなどで表面を密閉する。
2.保存は冷蔵庫(5℃〜8℃)で。
  最も新鮮さを保てるのは冷凍庫。 家庭の冷凍庫で味噌は
  凍らないので、取り出してすぐに使えます。
3.味噌を使うときのヘラやスプーン、お玉などは乾いた、汚れのないものを使う。


味噌のことをいろいろ調べてみて、材料のシンプルさ、なのに栄養価の高さ、
古い歴史、独自性、多様性、使い勝手の良さ、などなど総合的に見ても
世界の調味料の中でもNO、1 じゃないか、と思います。
自家製ができる、というところもすごいですよね。
余裕があったら、料理によって使い分けたり、気分によってお味噌汁の
味噌も変えてみたり、いろいろなこともできるのが味噌の魅力です。

↓食材辞典
http://www.daiichisankyo.co.jp/healthy/hlmethod/syokusai/30/basic.html