だしの世界

先日、”あひるのこ”での桜井さんの野菜塾で
「一番だし」をキチンと取りました。
それはそれは香りもよく、昆布とかつおぶしだけで、
こんなに美味しい基本のだしができるとは、改めて
「だし」の素晴らしさを実感し、”うま味”をしっかり
味わうことができました。

「和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたから、お母さんたちに
”うま味”をしっかり味わってもらいたい」という桜井さんの
思いがありました。
和食の特徴のひとつに、
=栄養バランスに優れた、健康的な食生活=
一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランス
といわれています。また”うま味”を上手に使うことによって
動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満予防に
役立っています。
とあります。

和食に関しては「和食!バンザイ!」をご覧ください

http://d.hatena.ne.jp/gasplaza/20131213/1386921348

味の基本の5つ、五基本味
・甘み
・酸味
・うま味=だし
・塩味
・苦味

うま味の正体
グルタミン酸  
野菜、海草に多く含まれる
イノシン酸  
肉や魚に多く含まれる
グアニル酸  
野菜や海草に多く含まれる

日本の天然だしの代表
◇昆布
◇煮干
かつお
◇干ししいたけ

だしは”うま味”と”香り”でできています。
この4つの素材のいずれかを水にひたして煮てできます。

【だしの歴史】
縄文時代
だしのルーツは縄文時代とも言われています。
狩猟採集生活で野草や木の実を多く食べており、中には
毒性のものや、生で食べると消化が悪いものもありました。
煮ることにより苦味や渋みがなくなり、やわらかくなって
食べやすくなることに気づき、さらに、縄文式土器の発展によって
簡単に煮炊きができるようになりました。
魚や肉も土器で煮て食べるようになり。その煮汁には様々なうま味が
溶け出していることに気づいたのではないでしょうか。
その煮汁を利用しようと考えたのが、だしの出発点といえます。

※〜室町時代
だしの代表的な材料である、昆布やかつをは古くから文献に登場しますが、
だしとして利用されるようになったのは、大和朝廷の頃で、
この頃に”かつお節”の原型ができたと考えられます。
魚は古くから日本人の貴重なたんぱく源でした。その保存法として、
天日で干したり、いろりで燻製にしたり工夫されてきました。
「堅魚」…かつおそ干したもの
「煮堅魚」…煮て干したもの
「堅魚煎汁(いろり)」…かつおのうま味を凝縮したもので、日本最古の調味料とされている
701年に制定された『大宝律令』では堅魚、煮堅魚、堅魚煎汁が調停への
重要献上品として指定されています。
本格的な刑法、行政法の制度をまとめたものに記述があったんですね。

※江戸時代※
かつお節が現在のような形になったのは戦国時代から江戸時代初期の頃で
かつお節がだしとして使用されていました。
現在のかつお節に近い製法を開発したのは、かつお漁が盛んだった、紀州
(現在の和歌山県)でそれが土佐(高知県)に伝わったようです。
煙で燻して乾燥させる「燻乾法」は紀州と土佐の2カ国だけの秘法とされて
きましたが、その後だんだん太平洋を北上して伝わっていったようです。

昆布は古くから北海道で生産されていましたが、日本海沿岸や大阪を
北前船」が結ぶことにより、広まっていきました。
やがて九州や琉球、清(中国)まで伝わり、その道は”コンブロード”
と呼ばれます。
その流通を支えたのが、”富山の薬売り”だそうです。
薬の販売網に載せて昆布も売り歩きました。
薩摩藩は富山の薬売りから仕入れた昆布を中国に輸出し、
その貿易で得た財力が明治維新の原動力になったとも言われて
います。昆布が歴史を変えた!んですね!

『料理物語』(1643年)には昆布やかつお節からのだしの取り方が
書かれています。
江戸時代には江戸ではそばの文化、関西ではうどんの文化は花開き、
だし汁にかつお、昆布が使用されてきました。
煮物、汁物などの味のベースとしてもだしが広まり、
食文化として確立されていきました。

※近代※
明治時代にかつお節が広い地域で作られるようになり、
普及していきますが、まだ高価で庶民が気軽に使えるわけでは
ありませんでした。
関西方面では代用品としてサバ節やイワシ節を削った削り節が
登場して普及していきました。

明治41年(1908年)東京帝国大学の池田菊苗(きくなえ)博士が
昆布だしの成分を「グルタミン酸ナトリウム」と突き止め、”うま味”
と名づけました。
それまでの基本の味とされていたのは、酸味、甘み、塩味、苦味で、
うま味はどれにも該当せず、5番目に追加されました。
翌年、世界初のうま味調味料『味の素』が発売されました。

パック入りのかつお節が登場し、削らなくてもよい手軽さから、
一気に家庭に普及していきました。
これにより、家庭から”かつお節削り器”が消えていきました。
昭和50年頃からは昆布のうま味成分とかつお節のエキスを抽出して
作られた液体だしが登場し、便利さと安さの両面から一般家庭に広く
普及していきました。