群馬の粉食文化・オキリコミ

2月4日付けで群馬県全域にインフルエンザ警報が発令されました。
医療機関当りの患者報告数が基準値の30人を超えた、ということです。

保育園でも会社でも話が出てきました。
引き続き、うがい、手洗い、栄養、睡眠には十分気をつけて、
この時期を乗り越えたいと思います!

同じくして、
「『群馬の粉食文化・オキリコミ』を県選択無形文化材とする」ことを
教育委員会に答申した」という報道がありました。
昨年の8月の審議会では保留になりましたが、
専門部会が、「存続の危機」を訴え全会一致で答申が妥当と判断されました。

『オキリコミ』
おっ切り込み、きりこみ、煮ぼうとう、など地域によっても呼び名が違います。
麺棒に巻いたまま、切ってはいれ、切ってはいれしていたので、そう呼ばるように
なったと言われています。

群馬県は年間を通して晴れの日が多い気候で、水はけのよい土壌に恵まれ、
二毛作による小麦の生産が盛んでした。
うどんなど粉食料理を常食とする文化が根付いており、おきりこみもその
ひとつです。
群馬県、埼玉県北部、秩父地方の郷土料理として、 ”郷土料理百選”にも
選定されています。

===国内小麦収穫量ランキング 2012年===
1 北海道  2 福岡県  3 佐賀県
4 群馬県  5 愛知県  6 埼玉県


【特徴】

◇麺
幅広で、塩を入れないとされ、打つときの水の量も少な目です。
少ない水で練ることが良い味を生むコツとされます。
生麺から茹でることで粉の風味を際立たせます。

◇つゆ
醤油ベースと味噌ベース
醤油が発達する以前は味付けに醤(ひしお)の上澄みを用いていました。

”醤(ひしお)”とは何かの食品を塩と麹で発酵させたものです。
現代の味噌は、原料が大豆のペースト状にされた穀醤にあたり、
そこから発展した液状のものが現在の日本の醤油です。

古くは味噌が主流だったが、醤油が一般家庭に普及すると、次第に
東毛地域から醤油ベースのものが伝播していったようです。
北毛、西毛では味噌ベースが多いそうです。

◇具
・ニンジン ・大根 ・長ねぎ ・しいたけ
・じゃがいも ・さといも  など

【起源】
原型は中国から入り、宮中で食べられていた、という由緒正しい料理
のようです。 12Cに上野国新田荘を開発した新田義重が宮中の
食事を管理する”大炊助(おおいすけ)”として務めていた時に覚えて、上州に
戻り、一族に伝えたと言われています。

近現代になり、忙しい農家、養蚕農家などが、栄養バランスにすぐれ、
手早く大量に作れる料理ということでよく作られました。

おふくろ、おばあちゃんの味、として懐かしい方も多いのではないでしょうか。

群馬県では夕食に食べられることが多く、夕食のオキリコミが残ったときに、
翌朝に温めなおして食べることがよくあります。
それを「オキリコミの立てっ返し」とよびます。
私もお店で食べたときに、3人前くらいだったので多くて余ったのを、
お店のおかみさんがビニール袋に入れてくれて、
「明日の朝、また食べるんだよ!」と教えてくれました。

【うどんとの違い】

うどん屋さんの数が多いことでわかるように、うどんもよく
食べられますが、オキリコミとうどんでは小麦粉の質が違っていました。
元々、オキリコミは日常の食事、うどんは特別の時の食事でした。
オキリコミはふすまが含まれているような普段用の小麦を使い、
うどんはきれいな白い小麦粉を使うのが普通だったようです。

地域によっては小麦粉に大麦の粉や、トウモロコシの粉を混ぜて
作るところもあったようです。
蕎麦を作っているところでは蕎麦粉を混ぜていました。
材料は必ずしも小麦粉だけで作られるとは限られず、
穀物の調理方法のひとつ、といえます。

旬の根野菜をたっぷり入れて、小麦粉のとろみのきいた
熱々のおつゆもたっぷり飲んで身体の芯まで温まり、
風邪やウィルスを撃退して、冬を元気に乗り越えましょう!

↓「群馬オキリコミプロジェクト」web
http://www.rdpc.or.jp/kyoudoryouri100/recipe/recipe/100212