EDO⇔ECO エコ・クッキング プロジェクト

先日、東京出張の機会がありました。
”エコ・クッキングフォローアップ研修会”だったのですが、
今回は調理実習ではなく、
「EDO⇔ECO エコ・クッキングプロジェクト」を行っている
現場の見学とそのプロジェクトに関する講義を受けてきました。


場所は皇居外苑、「楠公レストハウス 二重橋駅から
馬場先門からお堀の中に入ったところにあります。


楠公銅像の周りの緑に囲まれたレストハウス
300席あり、皇居参観のお客様や近隣に勤めている
会社員、国民公園散策の憩いの場になっています。


入り口を入ると、色とりどりの新鮮でおいしそうな野菜が並んでいます。
地場のものを中心に契約農家から毎日取り寄せています。


広くて天井の高い店内には江戸文様のタペストリーが何種類か掛かっています。



そもそも「EDO⇔ECO エコ・クッキングプロジェクト」って?!

大学、NPO、エネルギー環境情報センター、社団法人日本ガス協会
東京ガスらで構成され、環境省にもオブザーバーとして参加してもらっている、
”エコ・クッキング推進委員会”と”(財)国民公園協会皇居外苑”との協働プロジェクト。
江戸城のあったこの地で「江戸」に焦点を当て、創意工夫で編み出された
江戸庶民の味をエコ・クッキングを通じて再現し、
食育及び環境教育に貢献することを目的としています。


このプロジェクトの一環として「江戸エコ行楽重」が誕生しました!
江戸庶民の味を、現代の食材と、エコ・クッキングを通じて再現しました。
メニューは江戸時代の料理書を参考に、エコ・クッキングのアイディアを
取り入れて作られています。
江戸時代には料理の専門家から一般庶民に対しての料理本が多数発行されました。
大根専門の料理本や豆腐専門の料理本などもあり、さまざまな調理法が書かれて
いるようです。

<エコポイント>
☆東京近郊の旬の食材と厳選した調味料を使用しています
☆安心安全な食材を使用し、皮ごとまるごと調理しています
☆調理法を工夫して省エネに努め、無駄を減らしています
☆冷凍食品等を使用せず、レストランで全て手作りしています
☆使い捨ての容器を使用せず、笹の葉や竹皮を使っています。
☆食べ残しや調理くずは堆肥化し、契約農家へ戻して循環させています


「江戸エコ行楽重」はエコ・クッキング推進委員会の
エコ・クッキングチェック項目25の基準を満たしています


歌川広重画、『江戸名所図会 飛鳥山
女性達が敷物を敷いて、行楽弁当を食べ、三味線を弾き、
花見を楽しんでいる姿が生き生きと描かれています。

江戸時代中期になると、庶民の間でも花見や芝居、相撲見学などの
娯楽が盛んになってきます。
それにつれて、携行食としても弁当の楽しみの要素が加わり、
花見弁当や幕の内弁当など、趣向をこらした行楽弁当が
作られるようになりました。
「江戸エコ行楽重」は江戸時代の料理法と現代の食材が織りなす
”江戸の味”を、行楽弁当の形で再現しています。


”一の重”
手前は”五色田楽”で江戸時代も人気があったそうです。
見た目も楽しめますね。

”芝エビの天ぷら”江戸前の新鮮な魚介類に衣をつけ、
串揚げにし、屋台で売られる、いわば”サーストフード”的
なものでした。


”二の重”
左手前は”当座漬け”と言われていたお漬物。
江戸時代の食卓も漬物は必需品。大根、瓜、カブ、小松菜など
さまざまな野菜が使われていました。


”サツマイモ飯” これは秋冬バージョン。
春夏はタコ飯。薄切りのタコを桜の花びらに見立てています。
お米は栃木県の契約栽培米”なすひかり”です。


”味噌汁”
1842年『四季献立懐石料理秘襄抄』からのレシピです。
江戸時代から続く深川の老舗の高級江戸味噌を使用しています。
上品な白味噌で甘さも強くておいしかったです。

江戸時代は味噌は家庭ごとで作られていました。
”手前味噌で…”という言葉はここからきているとか。

気になる料理をズームアップ!!!
”こおり豆腐”
1782年刊『豆腐百珍』からのレシピです。
豆腐料理だけのレシピ本です。江戸時代の食卓には毎食といって
いいほど豆腐が登場していたそうです。

氷が貴重な江戸時代に、豆腐を使って涼しさを演出した一品です。
寒天を氷に見立て、中に豆腐が入っています。
上にのっている酢味噌でいただきます。
見た目の美しさも意識されていたのですね。


”かすてらたまご” 菊のご紋入り!
1801年『料理早指南 初篇』からのレシピです。
たまごに山芋や小麦粉を加え、カステラのように焼いた厚焼きたまご。
ポルトガル人が広めたカステラの製法が元になっています。

甘いのかと思いきや、結構しっかりと塩がきいています。


”蒸し羊羹”
1718年刊『古今名物御前菓子秘伝抄』からのレシピです。
こしあんに砂糖、くず粉を合わせてまぜ、流し缶に入れて蒸します。
寒天は東京都産の糸寒天を使用。中には秋〜冬は栗で、
春〜秋は白豆でアクセントをつけています。


"楠木正成像” 鎌倉末期〜南北朝時代に活躍した武将。
当時は悪党とも言われていたが、死後かなりの年月を経て
評価されるようになり、明治33年に住友金属の出資により
建立されたそうです。


平和で庶民の文化が花開き、活力があった魅力的な江戸時代は
現代のルーツがたくさん見られるのとともに、今とは全く違った歴史感も味わえます。
歴史である江戸時代から学び、近い未来の地球環境のことを意識する
“エコ・クッキング”に繋げ発展させるというプロジェクトのアイディアは
大変素晴しいと思いました。

“エコ・クッキング”など今は“エコ”という言葉がどこにでも使われていますが、
“エコ”は新しいことではなく、むしろ江戸時代、それ以前には
当たり前にできていたことなのだということを今回の講義等で
改めて確認できました。現代のように便利なものがない分、知恵を使って、
使いまわし、使い尽くしで循環型エコ生活の創意工夫をしてきたのだと思います。
その成果として延長線に現在問題となっている使い捨てのものや、
豊かになりすぎて食べ残しのゴミなどがあるのかと思うと江戸時代の人々に申し訳ないですね。


この「江戸エコ行楽重」は予約をして、どなたでも食べることができます。 お値段は¥1.575です。
お弁当を食べて、皇居外苑を散歩して丸の内でショッピング〜 なんて
いいかも♪ オススメですよ!
楠公レストハウス℡:03−3231−0878
前々日(土・日・祝を除く)16時までに予約できます。
時間や人数などお問い合わせください。

東京ガスweb
http://www.tokyo-gas.co.jp/ecocom/ecocooking/restaurant/index.html