お風呂の歴史 1

昨年、12月25日の”ガスでハッピーライフ♪”で放送した内容です。

久しぶりに「湯らら」に行って、身体をあたためて、癒されてきたのですが、
スーパー銭湯のような施設は実はむかーしむかしのローマ時代にも
たくさんあったんですよね。

前職(旅行会社)でヨーロッパに行く機会が多くあり、
ローマ時代の遺跡を見てきました。 初めて見た時は、何千年も前の建物が
残っている石の文化に圧倒されました。
イタリア、シシリー島のあるローマ遺跡の大浴場にあった、女性用のスポーツジムの
壁に描かれている、エクササイズを楽しむ女性のモザイクに感動したものです。

そして、話題のマンガ『テルマエ・ロマエ』も愛読しているので、
お風呂の歴史<世界編>を調べてみることにしました。


テルマエ・ロマエ』 (ローマの浴場) ヤマザキマリ
 古代ローマの浴場と現代の日本の風呂をテーマとしたコメディ
 ルシウス:古代ローマの浴場設計技師が日本の温泉や銭湯にタイムスリップ
 2012年映画公開  阿部寛上戸彩
 この作品がつくったきっかけ:「ヨーロッパにはお風呂も銭湯もないから、
お湯につかりたくてもつかれない。でも、そこら中に古代ローマ時代の浴場の遺跡がある。
昔はあったのになぜ今ないのか、それがもどかしくて」

テルマエ---古代ローマの公共浴場
遠くの山の水源から都市に水を供給する技術を持っている
ローマだけでも900の公共浴場があった
古代ローマの多くの都市に少なくとも1つの公衆浴場があり、社会生活の中心の1つになっていた。
古代ローマ人にとって入浴は非常に重要だった。
彼らは1日のうち数時間をそこで過ごし、時には一日中いることもあった。
裕福なローマ人が1人か複数人の奴隷を伴ってやってきた。
料金を支払った後、裸になり、熱い床から足を守るためにサンダルだけを履いた。
奴隷は主人のタオルを運び、飲み物を取ってくるなどした。
入浴前には運動をする。例えば、ランニング、
軽いウェイトリフティング、レスリング、水泳などである。
運動後、奴隷が主人の身体にオイルを塗り、
(木製または骨製の)肌かき器で汚れと共にオイルを落とした。

温水浴、熱浴、冷水浴という順番 全部備わっていての浴場
持ち物:ストイジル、オリーブオイル入れ、ネイルケアセット
垢すり屋さん、マッサージ屋さんがいる。 床屋も
入場料も当時の物価にしても大変安かった。 
奴隷、一般人、裕福な人、皇帝にいたるまで、誰でも入れた。
当時のお菓子、飲み物(水でうすめたワイン)などを飲み食いしながらおしゃべりを楽しんだ。
外では階級や揉め事があっても公衆浴場という場に来てしまえば
みんな素っ裸になってお互いを認め合う寛容さがあった。 
温かいお湯を囲んでの裸の付き合いは平和の証拠。
皇帝が市民を喜ばせ、名声を後世に残すために公衆浴場を築いた
裕福なローマ人は市民からの名声を得たいときに、公衆浴場を1日貸しきって一般に無料開放した
男性用、女性用がある

ハイポーコースト:現代のセントラルヒーティング(全館集中型暖房)の先駆け
“下から熱する”という意味 
床面を柱で持ち上げて壁の中に空間を残しておき、炉からの熱気と煙を床下や壁に送り込み、屋根付近の送管で排気する。室内の空気を汚さず温めることができる。
作業用の部屋 火の面倒をみるための労働力が必要。
床が熱いのでサンダルを履く


アトリウム
中庭、玄関ホール 若者のための運動場 散歩道 入浴料(青銅硬貨)を徴収する管理者もいた
 上流階級の待合室もある 

脱衣所  
 着替えを手伝う奴隷がいる  広々とした部屋で壁に沿って石の椅子がある ひとりひとり衣服が
 かけられるようになっている

 
ガルダリウム:高温多湿浴室
公衆浴場の中でも最も高温な部屋  お湯をはった湯船がある。 オリーブオイルで身体を洗浄し
軽く砂をかけてから、ストリジル(金属性肌かき器)を使って余分なオリーブオイルを取り除いた

テピダリウム:微温浴
 床や壁に接する部分から人体に熱がほどよく伝わることが特徴
 公衆浴場の中でも大きなホールになっている 
 立派な彫刻(裸体像)を置いて、人間の肉体美を眺めながら湯につかる
 浴槽は大理石、純銀製も

フリギダリウム:冷浴室
 熱い風呂を楽しんだあとに入る、冷水のプールがある部屋  泳げるほどのプールがある施設も
 カルダリウムとテビダリウムは皮膚の毛穴を広げ、フリキダリウムで汗腺を閉じる

スダトリウム:蒸気風呂

ラコニウム:サウナ風呂 

ギムナシウム:ジム
 古代ギリシャの公共の競技の選手が訓練をする施設
 「身体を鍛える場所」
 18歳以上の男子が肉体を鍛えて訓練をする場所


バース(Bath) イングランド・・世界遺産
2C頃ローマの支配下で温泉の町をして栄えた さまざまな病気に効用があるといわれていた

カラカラ浴場 ローマ  ローマ皇帝カラカラ帝
 娯楽性の高いレジャー施設 男性同士の同性愛 出会いの場  公立図書館(ギリシャ語・ラテン語)も併設 


<公共浴場が衰退した理由?>
・疫病が流行った
・木を切り倒したため、燃料になる蒔がなくなった
・浴場は社交場だったため、しばしば反体制派のたまり場になっていたので弾圧された
・赤の他人に裸をさらすのは公序良俗に反するというキリスト教的思想の広がり