食中毒に注意しましょう

食中毒食中毒とは、有毒な微生物や化学物質を含む飲食物を食べた結果生じる健康障害です。
多くは、急性の胃腸障害(おう吐、腹痛、下痢などの症状)をおこします。
従来、赤痢コレラなどの感染症は食中毒と区別されてきましたが、
1999年4月に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症新法)において、
病因物質の種別にかかわらず飲食に起因する健康障害は食中毒として取り扱われる事となっています。



細菌性
細菌性 感染型
  細菌に感染した食品を摂取し、体内で増殖した細菌が病原性を持つことで起こる食中毒
  細菌を食べることが問題なので、加熱・環境消毒・手洗いを行って食物へ細菌を付着
  させないことが重要

  ・サルモネラ属菌…肉類、鶏卵
  ・腸炎ビブリオ……魚貝類
  ・カンピロバクター…鶏肉、生レバー、水

毒素型
  食品内で細菌が産生した毒素を摂取することで起こる食中毒
  毒素を食べることが問題なので、加熱殺菌・低温保存等により食物上での
  繁殖を防ぐことが重要

  ・黄色ブドウ球菌………手指の化膿巣
  ・ボツリヌス菌……… 野菜(レンコン)、土壌
  ・セレウス菌(嘔吐型…穀物、土壌
  
 生体内毒素型

腸管出血性大腸菌………肉類、水、患者のふん便
  ・ウエルシュ菌………… 肉類、スープ類
  ・セレウス菌(下痢型)…穀類、土壌
  
ウイルス性 ウイルスが蓄積している食品の摂取や、人の手を介して感染が起こります。
 その大部分がノロウイルスです。

  ・ノロウイルス………二次汚染された食品
            二枚貝(牡蠣、はまぐり等)

自然毒 動物や植物が本来持っている有毒成分と、植物連鎖を通して動植物に取り込まれたもの。
 
  ・植物性………フグ毒、貝毒
  ・植物性………毒キノコ、毒草(トリカブト)、ジャガイモの芽

科学物質 食品の生産・加工・保存・流通および消費の過程で、食品内に外部から侵入したり、
 食品内で生成する有害物質のうち、化学物質によって引き起こされる健康被害のこと
 洗剤、漂白剤、農薬、食品添加物、水銀、鉛

寄生虫食中毒 獣肉、魚、生水に寄生している虫によって引き起こされる健康被害


【食中毒菌発育の3要素】
栄養分 食品や残菜、有機物汚れは絶好の細菌の栄養になります。
調理器具類についた食品や汚れも細菌の栄養となります。
高タンパク質食品は、細菌にとって最良の栄養源です。 

水分 細菌は水に溶けている栄養分を分解して摂取するため、水分のない食品では増殖することはできません。
水分活性を0.5Aw以下に抑えることができれば、どんな微生物の増殖も防ぐことができます。

温度 細菌の増殖には温度が最も大きな要素となります。
すべての細菌はそれぞれ増殖に適した温度(至適温度)と、増殖温度範囲があります。
一般に15℃〜40℃が適温帯で、
35℃前後でよく増殖します。


【食中毒予防の三原則】

⑴清潔 (細菌、ウィルスをつけない)食中毒を起こす細菌は、生の肉や魚、野菜などの食材に付いていることがあります。
手や調理器具などを介して他の食品を汚染し、食中毒の原因となる場合が非常に
多いので、注意が必要です。

●調理の前、トイレの後、ゴミの処理などの後は、その都度手を洗う


●調理器具は、目的に応じて使い分け、使用後は洗浄消毒を行い、乾燥させる
●冷蔵庫内や調理工程での二次汚染を防ぐ

⑵迅速・冷却 (細菌を増やさない)
細菌は、温度・湿度・栄養などの条件がそろえばすぐに増殖してしまいます。
少量でも発症する腸管出血性大腸菌O157やノロウィルスもあるので
増えないからといっても油断は禁物です。

●迅速に調理し、速やかに喫食し、最近に増殖する時間を与えない
●やむを得ず保管する時は、室温に放置せず、冷蔵庫で保管する
●喫食者にもすぐに食べるように注意を呼びかける

⑶加熱 (細菌をやっつける)
食中毒を起こす細菌、ウィルスのほとんどは、熱に弱いので、食品の中心部まで
十分に加熱しましょう。 調理器具や食器などは、洗浄した後、熱湯や塩素系殺菌剤などで消毒する
必要があります。

●食品の中心部まで、十分に加熱させる
●中心温度計で確認する
●調理器具などは、洗浄後、熱湯や塩素系殺菌剤で消毒する



▲従事者の健康▼調理従事者自身に下痢などの症状があると、手指を介して食品を汚染する可能性が高くなります。
自分自身の健康に十分留意しましょう。

▲手洗い▼「食品衛生は、手洗いに始まり、手洗いに終わる」
流水で十分汚れを洗った上で、消毒効果のある石鹸を利用して手洗いをしましょう。
タオルはこまめに清潔なものに取り替えましょう。


食中毒は飲食店だけの問題ではなく、家庭の食事でも発生してしまいます。
夏も過ぎてかなり過ごしやすくなってきましたが、まだ日中は気温が上がる日もあり、
私たちも油断してしまっている、今こそ気を付けたいですね。
「つけない!・増やさない!・やっつける!」の三原則、あとは手洗いで、
毎日健康、食欲の秋を楽しみましょう!

厚生労働省Web
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html